過ぎ去る紅葉月(後編)

FISHING REPORT

遠征最終日、一足早く帰っていった大森さんを見送って、一人で最終日を過ごすことになった。

この山奥で、一人になるとなかなかの孤独感だ(笑)

しかしそもそも、鱒釣りという趣味自体が普段から孤高のひとり遊びじゃないか、頑張れ!おれ!と言い聞かせて早朝まだ暗い中からヘッドライトを灯してひたすら歩く。

数日間歩き回ったお陰もあって、鱒の位置は大まかに把握できている。

最終日はここで勝負しようと思ったエリアへ腰を据えて、狙いの魚が姿を現す可能性に賭けてじっと観察する。

大きなプールの底で、明らかにド派手なピンクの魚体が鎮座しているが、水深のあるところでは流れも効いていないのでキャストしても無駄に警戒されるだけだ。

浅瀬の流れが効いているところへ出てくれるのを祈って座ったままじっと待ったが、5〜6時間しても目を奪うほどの存在感を放つそいつは浅瀬へ出ることが無かった。

周りの木々はまだ色づいていないが、魚たちは確実に命の終わりに向けて少しずつ歩んでいた。
今季の本流シーズンから秋の釣りまでG3ガイドボアブーツでたくさん、たくさん歩いた。

全身ピンクのそいつが、定期的にプールの底から姿を消すのだが、奴がいない隙を見て(警戒させないために)、流れのウケになっている怪しい駆け上がりに試作70S-FLAT(7.2g)を送り込む。

駆け上がりに入るとルアーがフッと消えて何かにルアーがひったくられた。

「ぐわん!ぐわん!」とロッドを絞り込んでプールの底でもんどりを打つ黒い魚に、一瞬オスの秋鱒を期待したが取り込んでみると50cmを超えるイワナだった。

狙いの魚では無かったけれど、これは嬉しいゲストだった。

普段は本流ロッドで狙う大イワナも、渓流ロッドで釣るとスリルがあって楽しい。オスの50アップ。
このイワナも婚姻色が出始めて、お腹まで黒っぽくなっていた。釣った直後は朱点も紅に近い鮮やかな色だった。

今回直前に試作していた70S(7.2g)を使用したのだが、実は最初のスイムテストの時はあまりパッとしない印象で要修正だと思っていた。

しかし実際にフィールドで使うことで意図とは違った素晴らしい一面を確認できました。

まず、バルサの浮力の効いたシンキングで沈むスピードは早くないが、かなりレンジが入る。そして操作しても浮き上がらない。7cm/7g程度のセッティングで深いプールの中心のボトムにルアーがタッチしていた。

もう一つは沈下時の姿勢が水平をキープしやすく、ドリフトで魚の鼻先に送り込んでもほとんど警戒されなかった。

前から感じていたけど、イワナってゴールド好きですよね。今回使用したゴールドチャートカラーはイワナの反応がずば抜けて良かった。

このイワナを釣った後、移動をした先で一度だけ僕に最大のチャンスが訪れた。

全身ピンクの雄鱒が目の前に現れて、水深2m前後の早い流れにステイした。

水深が深いのでもっと割りの良い浅瀬へ出るタイミングで狙いたいが、時刻的にも下山の時間が近くあまり待てない。

ある程度早い流れにステイしているのでここで勝負を開始。

おそらく20分ほどそいつに向かってキャストを繰り返し、試作の70S-FLATにヒットすることも無く姿を消していったのだが、その間繰り返しキャストしても警戒心の強い大鱒がルアーを警戒して逃げることは一度もなかった。

70S-FLATはロッド操作に対するレスポンスこそは劣るものの、沈下速度(比重)と沈下姿勢のバランスが絶妙で浮き上がらない、そして比重が軽いのでボトムタッチの間隔が長く、ボトムドリフトの釣りに対する性能がピカイチだった。

沈下速度(比重)と沈下姿勢の重要性を改めて確認できたので、これは来季に向けてもう少し煮詰めて行きたい試作品になったのです。

製作者は意図通りにルアーを作るのが仕事だけれど、時としてフィールドで思いがけない発見があるのも事実。

毎日工房でルアー製作に向き合うのと同様に、フィールドに出かけることも同じくらい重要だと思うのです。

皆さんも今シーズン大変お疲れ様でした。トラウティスト達はしばらくの間お休みだ。

退渓後、歩いてきた道を再び延々と戻り、車に辿りついた時の安心感ときたら、、、笑。

こうしてゆっくりと、優雅に今シーズンが幕を閉じたのでした。

遠征の期間中だけでおよそ50 km近く歩き回ったと思われるタキガヒラは飯もろくに食わず夢中で釣りをした。

帰宅すると周りから「なんか数日見ない間に痩せたよね」と言われ、痩せたくなったら大ヤマメを釣りに行けば良いのだということを発見した(笑)

余談ですがこの遠征期間中、靴下(ルートワットソックス)を2日に一回ペースで交換していたけれど、高い防臭効果と速乾性にはいつも驚かされています。

(遠征先で交換用ソックスが足りなくて焦ったけど、ルートワットソックスに助けられたというお話し)

釣り人のために作られたルートワットソックスの中でも今回使用した「和紙ハイブリッドソックス(ミドル丈)」は上記の効果も然り、適度な土踏まずの締め付け効果で歩行の疲れも軽減されている感覚があります。

ひとまず、今季のトラウトシーズンも大変お疲れ様でした!

トラウト禁漁後はサーフでフラットフィッシュを狙うのが私の恒例行事。

サーフでも試したいことがたくさんある。タイミングを見てまた出掛けてみよう。

ではまた!

TACKLE DATA                                         

ROD:CASKET/OBB604MS

REEL:DAIWA/22EXIST LT3000S

NET:Monochrome×Grainholic/内径35cm黒柿縞・内径40cm花梨瘤青白スポルテッド

LURE:Monochrome 60HS、試作60XHS、試作70S-FLAT

=今日のアイテム=

↓G3ガイドボアブーツにはワイヤー切れに備えて必ずボアリペアキット(M4)を携帯しましょう!

↓フェルトソールにはハードバイトスタッドを打って、フェルトのすり減りを軽減しました。

小さな釣具屋モノクローム(Fishing Gear Monochrome)

〒501-5122 岐阜県郡上市白鳥町為真166-2

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